[[多自由度コロキウム]]

#contents

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*第1回 (5月15日) [#if21f9cc]
**連続準位を持つ物理量を用いた量子鍵配送について [#l32b530f]

-''日時''
 5月15日(木) 16:00〜18:00

-''場所''
 名古屋大学(東山キャンパス)情報科学研究科棟8階802号室
 [[キャンパスマップ:http://www.is.nagoya-u.ac.jp/intro/contact.html]]

-''講演者''
 市川 翼 氏 (学習院大学・ポスドク研究員)


-''要旨''
 量子鍵配送とは、量子力学の性質を用いて、安全な通信に必要な秘密鍵を共有するための技術である。最初の提案から30年が経過し、さまざまなプロトコルが提案され、試験機も多数制作されている。これらのプロトコルの多くは2準位系を仮定したものでおり、実装においては高価な機器が必要とされる。一方、光のコヒーレント状態など、連続準位を持つ物理系を用いたプロトコルも提案されており、比較的安価に実装できることが期待されている。本講演では、連続準位を用いた量子鍵配送方式を紹介し、その安全性について議論する。

-''参考文献''~
[1] V. Scarani, et al.: The security of practical quantum key distribution, [[Rev. Mod. Phys. 81, 1301 (2009):http://journals.aps.org/rmp/abstract/10.1103/RevModPhys.81.1301]]~
[2] T. Hirano, et al.: Quantum cryptography using pulsed homodyne detection, [[Phys. Rev. A 68, 042331 (2003):http://journals.aps.org/pra/abstract/10.1103/PhysRevA.68.042331]]~
[3] F. Grosshans and P. Grangier: Continuous Variable Quantum Cryptography Using Coherent States, [[Phys. Rev. Lett. 88, 057902 (2002):http://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.88.057902]]~
[4] C. Weedbrook, et al.: Gaussian quantum information, [[Rev. Mod. Phys. 84, 621 (2012):http://journals.aps.org/rmp/abstract/10.1103/RevModPhys.84.621]]~


*番外編(天白ゼミ)(5月17日) [#s4bfb3c7]
**Kochen-Specker定理とその周辺 [#q3be3d97]

-''日時''
 5月17日(土) 10:30〜12:30頃

-''場所''
 [[名城大学中山研究室:http://cphys.meijo-u.ac.jp/map.html]] (天白ゼミ=有志者によるゼミです。参加義務はありません)

-''講演者''
 市川 翼 氏 (学習院大学・ポスドク研究員)


-''要旨''
 量子情報科学の進展にともない、量子論の基礎に関する議論が盛んになりつつある。その中でも、Bell不等式を用いた、量子論の非局所性に関する議論は特に有名である。一方、物理量の実在性に関する議論も半世紀近い歴史がある。本講演では、Kochen-Speckerの定理を紹介することで、物理量の実在性に関する議論の概観を提示したい。

-''参考文献''~
[1] J. S. Bell: On the Problem of Hidden Variables in Quantum Mechanics, [[Rev. Mod. Phys. 38, 447 (1966):http://journals.aps.org/rmp/abstract/10.1103/RevModPhys.38.447]]~
[2] A. M. Gleason: Measures on the closed subspaces of a Hilbert space, [[J. Math. Mech. 6, 885 (1957):http://www.iap.tu-darmstadt.de/tqp/uebungen/qinfo11/Gleason.pdf]]~
[3] N. D. Mermin: Hidden variables and the two theorems of John Bell, [[Rev. Mod. Phys. 65, 803 (1993):http://journals.aps.org/rmp/abstract/10.1103/RevModPhys.65.803]]~
[4] [[A. Peres, Quantum Theory: Concepts and Methods (Kluwer, 1993):http://www.amazon.com/Quantum-Theory-Concepts-Fundamental-Theories/dp/0792336321]], (訳書[[『量子論の概念と手法―先端研究へのアプローチ』:http://www.amazon.co.jp/%E3%83%9A%E3%83%AC%E3%82%B9%E9%87%8F%E5%AD%90%E8%AB%96%E3%81%AE%E6%A6%82%E5%BF%B5%E3%81%A8%E6%89%8B%E6%B3%95%E2%80%95%E5%85%88%E7%AB%AF%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%81%B8%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%81-A-%E3%83%9A%E3%83%AC%E3%82%B9/dp/4621049224/ref=cm_cr_pr_product_top]])




*第2回 (5月19日) [#bc861456]
**時空と熱と時々量子(フォトン)― 開放系中の量子ビットに対するマスター方程式 [#z142b08a]

-''日時''
 5月19日(月) 16:00〜18:00

-''場所''
 名古屋大学(東山キャンパス)情報科学研究科棟8階802号室 [[キャンパスマップ:http://www.is.nagoya-u.ac.jp/intro/contact.html]]

-''講演者''
 久木田 真吾 氏 ([[名古屋大学理学研究科QG研:http://qg.phys.nagoya-u.ac.jp/members/]] D1)

-''要旨''
 Hawking[1]を端緒とする重力理論と熱力学、また量子論との関連についての研究は今多様な形で花開いている。曲がった時空間の上で「情報」はどのように振舞うのだろうか?ブラックホールによる情報の損失とはいったい?時空の熱力学とは。そして、重力とは―。現在行っているのは、その疑問に答えるための第一歩(になったらいいな的な研究)である。~
 具体的には、Unruh de Witt detector(ただの量子ビット)を考え、それがある時空の上でどのように振舞うかを調べている。このようなモデルに対して従来から知られている計算手法は通常の摂動計算[2]、およびマスター方程式[3]によるものがあったが、その関係性についてはあまり議論されてこなかった。これに対し、最近提案された時間粗視化近似[4]の上でのマスター方程式がある種の特異摂動計算であることを示し、通常の摂動計算との対応を明らかにした。また、その近似によって得られる長時間のダイナミクスは従来の計算手法の元での近似からは素朴には予想できない形をしているので、その結果について報告する。~
 更に、現在これをより現実の現象に近づけた定式化として、ある意味での測定操作が加わるような計算(Quantum trajectory method)を導入してそれが Hawking輻射等にどう影響を与えるかについて計算を進めている。その進捗についても報告できたらいいな。

-''参考文献''~
[1] S. W. Hawking: Gravitational Radiation from Colliding Black Holes, [[Phys. Rev. Lett. 26, 1344 (1971):http://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.26.1344]]~
[2] Y. Nambu: Entanglement Structure in Expanding Universes, [[Entropy, 15(5), 1847-1874 (2013):http://www.mdpi.com/1099-4300/15/5/1847]], [[arXiv 1305.4193:http://jp.arxiv.org/abs/1305.4193]]~
[3] F. Benatti, R. Floreanini: Entanglement generation in uniformly accelerating atoms: Reexamination of the Unruh effect, [[Phys. Rev. A 70, 012112 (2004):http://journals.aps.org/pra/abstract/10.1103/PhysRevA.70.012112]]~
[4] G. Schaller, T. Brandes: Preservation of Positivity by Dynamical Coarse Graining, [[Phys Rev A 78, 022106 (2008):http://journals.aps.org/pra/abstract/10.1103/PhysRevA.78.022106]]

*第3回 (5月28日) [#yf735814]
**タンパク質構造エネルギー地形のネットワーク模型 [#e60fd6f9]

-''日時''
 5月28日(水) 13:00〜14:30

-''場所''
 名古屋大学(東山キャンパス)情報科学研究科棟8階802号室 [[キャンパスマップ:http://www.is.nagoya-u.ac.jp/intro/contact.html]]

-''講演者''
 松下 勝義 氏 (理研CDB)

-''要旨''
 タンパク質は生体で様々な機能を担う重要な物質である. これまで, タンパク質の自発的な特定構造形成がその機能に必須であるとされてきた. 一方で近年, 天然変性タンパク質と呼ばれる構造が自発的に形成されないタンパク質でも様々な機能を果す事が明らかになってきた. 通常のタンパク質の性質はファネルエネルギー地形描像[1]で説明されるが,天然変性タンパク質の性質をエネルギー地形描像でどのように理解するかは仮説はあるものの[2]いまだ良く分かっていない. この解決にはエネルギー地形を実際に描き出すことが必要であるがそのような手法は現状のところ完全には確立されていない[3].~
 エネルギー地形を描き出すことを目的として, 我々は最近マルチカノニカル・モンテカルロ法[4]をもとにその可視化法開発に取り組んだ[5]. 我々の方法はタンパク質のエネルギー地形が微視的に与えられていると仮定したとき, そこからエネルギー地形をネットワーク模型[6]として与える. 本講演ではその手法の紹介と実際の天然変性タンパク質NRSF/RESTの微視的模型への応用例を紹介する.

-''参考文献''~
[1] 笹井 理生, 蛋白質の柔らかなダイナミクス 培風館 (2008).~
[2] K. Matsushita and M. Kikuchi, J. Chem. Phys. 138, (2013) 105101.~
[3] J. Wang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 109, (2012) 15763.~
[4] T. Nogawa et al., Phys. Rev. E 86, (2012) 41133.~
[5] K. Matsushita et al, 第19回交通流のシミュレーションシンポジウム 論文集 (2013) 61.~
[6] V. S. Pande, Phys. Rev. Lett. 105, (2010) 198101.~



*第4回 (6月26日) [#s1ad1e06]
**孤立量子系におけるエントロピー増大則 [#x6ca20b1]

-''日時''
 6月26日(木) 16:00〜18:00

-''場所''
 名古屋大学(東山キャンパス)情報科学研究科棟8階802号室 [[キャンパスマップ:http://www.is.nagoya-u.ac.jp/intro/contact.html]]

-''講演者''
 作道 直幸 氏 ([[理化学研究所:http://snp.riken.jp/index.html]] ポスドク研究員)

-''要旨''
 熱浴となる環境系を持たない孤立量子系において、熱力学エントロピーをミクロな量子状態から計算する方法は、未だに確立されていません。例えば、熱平衡状態に達した孤立量子系に、ユニタリー時間発展で書ける準静的でない外部操作(外場の急激な変調など)を行い、再び熱平衡状態に達するまで待つとします。このとき、熱力学第二法則によれば系の熱力学エントロピーは真に増大します。しかし、通常のフォンノイマンエントロピー:
−Tr(ρlnρ) はユニタリー時間発展のもとで一定です。従って、フォンノイマンエントロピーは、孤立量子系の状態変化をうまく記述していないことがわかります。
 熱力学第二法則と整合的なエントロピーの表式を求めるという問題の難しさの起源は、可逆なユニタリー時間発展から不可逆なエントロピー増大則を導く点にあります。我々は、外部操作の際に操作者が系の情報を参照できないという、ある種のMaxwell
demonの不在を仮定することで、この困難を克服し、「密度演算子の対角要素のシャノンエントロピー」が熱力学第二法則を満たすことを証明しました[1]。この表式は熱力学の基本的な関係式を全て満たすため、孤立量子系のエントロピーの表式の一つが確立できたと考えています。

-''参考文献''~
[1] T. N. Ikeda, N. Sakumichi, A. Polkovnikov, and M. Ueda, [[arXiv:1303.5471v2:http://jp.arxiv.org/abs/1303.5471]].


*番外編(天白ゼミ)(6月28日) [#ead11973]
**クラスター展開法による冷却原子気体のBCS-BECクロスオーバーの研究 [#pc99dc1d]

-''日時''
 6月28日(土) 10:30〜12:30頃

-''場所''
 [[名城大学中山研究室:http://cphys.meijo-u.ac.jp/map.html]] (天白ゼミ=有志者によるゼミです。参加義務はありません)

-''講演者''
 作道 直幸 氏 (理化学研究所・ポスドク研究員)

-''要旨''
 冷却原子気体は、温度、原子数密度、閉じ込めポテンシャルの形状と次元性、原子種の統計性(ボース/フェルミ)など、系の性質を決定するほとんどすべてのパラメーターを連続的に変化させられる、究極の人工量子物質です。中でも著しい特徴は、原子間相互作用が外部磁場によって変調できる点です。この性質を利用して、冷却フェルミ原子気体における、引力が弱いときのBCS超流動体から、引力が十分強いときの分子ボソンのボース・アインシュタイン凝縮(BEC)までの連続的な変調が実現されています。これをBCS-BECクロスオーバーと言います[1]。
 今回のセミナーでは、前半にBCS-BECクロスオーバーの実験と理論研究の現状を簡単にレビューし、後半にクラスター展開[2,3]を用いた我々の研究[4-6]について紹介します。冷却原子気体について詳しくない人を想定して、なるべく基本的なことから説明しようと思います。

-''参考文献''~
[1] [[“The BCS-BEC Crossover and the Unitary Fermi Gas”:http://link.springer.com/book/10.1007%2F978-3-642-21978-8]], edited by
W. Zwerger (Springer, 2012).~
[2] X.-J. Liu, [[Phys. Rep. 524, 37. (2013):http://www.sciencedirect.com/science/journal/03701573/524/2]].~
[3] T. D. Lee and C. N. Yang, [[Phys. Rev. 113, 1165 (1959):http://journals.aps.org/archive/abstract/10.1103/PhysRev.113.1165]]; [[117, 22 (1960):http://journals.aps.org/archive/abstract/10.1103/PhysRev.117.22]].~
[4] N. Sakumichi, N. Kawakami, and M. Ueda, [[Phys. Rev. A 85, 043601 (2012):http://journals.aps.org/pra/abstract/10.1103/PhysRevA.85.043601]].~
[5] N. Sakumichi, N. Kawakami, and M. Ueda, [[arXiv:1202.6532 (2012):http://jp.arxiv.org/abs/1202.6532]].~
[6] N. Sakumichi, Y. Nishida, and M. Ueda, [[Phys. Rev. A 89, 033622 (2014):http://journals.aps.org/pra/abstract/10.1103/PhysRevA.89.033622]].



*第5回 (6月30日) [#s396c20e]
**異常統計と変形指数型分布族の幾何学 [#d3b352f1]

-''日時''
 6月30日(月) 15:00〜

-''場所''
 名古屋大学(東山キャンパス)情報科学研究科棟8階802号室 [[キャンパスマップ:http://www.is.nagoya-u.ac.jp/intro/contact.html]]

-''講演者''
 [[松添 博 氏:http://matsuzoe.web.nitech.ac.jp/]] (名古屋工業大学 情報工学科)

-''要旨''
 正規分布,ガンマ分布など代表的な確率分布は,指数型分布とよばれる確率分布のクラスに属しているが,変形指数型分布はその一般化である.Student の t-分布など,異常統計で議論される確率分布は変形指数型分布に属する.この変形指数型分布族には,二つの異なる統計構造が定義されることが知られている.

-''参考文献''~
[1] H. Matsuzoe and M. Henmi:
Hessian structures and divergence functions
on deformed exponential families [[chapter 3:http://link.springer.com/chapter/10.1007%2F978-3-319-05317-2_3]] in 
on deformed exponential families, [[chapter 3:http://link.springer.com/chapter/10.1007%2F978-3-319-05317-2_3]] in 
[[Geometric Theory of Information, Signals and Communication Technology:http://www.springer.com/engineering/signals/book/978-3-319-05316-5]],
Springer, (2014), 57-80.~
[2] H. Matsuzoe:
Statistical manifolds and geometry of estimating functions,
Recent Progress in Differential Geometry and Its Related Fields,
World Scientific, (2013), 187-202.~
[3] S. Amari, A. Ohara and H. Matsuzoe:
Geometry of deformed exponential families: invariant, dually-flat and
conformal geometry, [[Physica A, 391 (2012), 4308-4319:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S037843711200310X]].~
[4] J. Naudts: [[Generalised Thermostatistics:http://link.springer.com/book/10.1007%2F978-0-85729-355-8]], Springer, (2011)

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名古屋大学 情報科学研究科 複雑系科学専攻 多自由度システム情報論講座